曲げ(ベンダー)加工とは
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曲げ(ベンダー)加工とは
切り抜かれたまっすぐな板を上型と下型で挟み、様々な角度で曲げる加工のことをいいます。簡単なように思えますが金属の特性でスプリングバック等が起こり、作業者の経験が必要とされます。
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ベンダーによる曲げ加工には様々な加工がありますが、下型にV形の溝が彫られたダイ・上型にはそのV溝にはまるようなパンチをセットして圧力を掛けて曲げることをV曲げといいます。圧力の具合やV溝の幅、パンチのRや形状によって90度以外の角度や丸みを帯びた曲げ加工ができます。
上記のように上型のパンチと下型のV溝によって行う曲げ加工の中でもV溝の底まで押さずに空気と接触した状態で曲げることをエアーベンディングといいます。特徴は曲げ角度の範囲を自由にできることです。V溝の種類にもよりますが一般的に鈍角から88°までの角度で曲げることが出来ます。
また、上型のRを0.2Rなどの極端に小さいRのものを使用することにより、極めて正確な曲げ精度を得ることをコイニングといい、ローラーを用いたり少しずつプレスで押して曲げることをR曲げ、専用の方を使いベンダーのペダルを1度踏むだけでZの形に曲げるZ曲げ。一度鋭角に曲げたあと更に押しつぶして折り返し強度を出したり切り口を内側に折ることで安全面にも考慮したヘミング曲げといった、金型を変えることで様々な曲げ加工を行うことが出来ます。
ベンダー曲げの計算
曲げ加工を行う場合、板の材質や厚さなどの要素により、曲げ終わったときの寸法や、曲げる時の材質の特性により計算して曲げる前の展開を行います。
計算が必要な理由は曲げる過程で金属は伸び縮みします。その材質の特性に合わせて計算した展開寸法で板を切らないと曲げ終わった後の寸法に誤差が生じてしまうからです。
弊社では長年蓄積したノウハウで材質・板厚・角度・ベンダーで使用する型の大きさ等を考慮して計算し、的確な展開で切断・曲げを行うことが出来ます。
ベンダー曲げのメリットとしては1工程ずつバックゲージと呼ばれる突き当てに当てて曲げていくので精度の高い複雑な曲げを行うことが出来ます。また1度完成品が出来ればペダルを踏むだけで同じ製品を大量に素早く作ることが出来ます。
デメリットとしては複雑な曲げ等を行う場合は金型が必要になりコストがかかる。機械の圧力のトン数により曲げられる板厚が限られるなどが挙げられます。
スプリングバックとは
スプリングバックとは金型で金属をプレスした際に、金属が一定量元の形状に戻る現象のことをいいます。つまりは曲げ終わり時が90°だとしても上型下型が離れた瞬間に角度が少し戻り85°になったりします。スプリングバックを考慮して加工しないと、完成品の曲がり具合が違い製品として使えない場合があります。
①2段曲げ
スプリングバック防止策として、2段曲げ方式があります。一回のプレスで2回の曲げを行う方法で、例えば90°に曲げたい場合、まず80°~90°に曲げて圧力を除き、故意にスプリングバックを起こします。そして再度圧力を加えることで90°の曲げ角度を出します。
②ストライキング
ストライキングは、主にU曲げにおけるスプリングバック防止策です。この方式では、パンチの刃先の端にストライキングという出っ張りを用意し、この部分を材料に食い込ませることでスプリングバックを防止します。ただし、この方式では、特殊形状の金型が必要なことから高コストになってしまう、材料のストライキングを食い込ませた部分に欠けが発生しやすいなどの欠点があります。
③Vノッチを設ける
材料の曲げ部分にあらかじめVノッチを設けることで、スプリングバックを防止する方法もあります。この方法では、曲げ加工の前工程でV字型のくぼみを付けておき、その部分にパンチの刃先がくるようにプレスすることでスプリングバックを防止します。デメリットとして、曲げ部分の強度が低下することがあります。